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トレーラーハウスでサステナブルな暮らし
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2025.07.25 ライター:土屋真

空調負荷を抑える設計
まず、意識した点は、空調負荷を減らすということです。
トレーラーハウスの両サイドに大きな窓を設けて、気持ちの良い風が通るようにしています。窓を全開にすると相当風が通るようなデザインになっているので、夏にエアコンをフル稼働させなくてもなんとかやり過ごせるようにしてあります。ただ、自然豊かな場所にトレーラーハウスを設置していると窓を全開にしていたら虫が入ってきます。そこで網戸を取り付けました。この網戸は日本の伝統的なモチーフである縦格子状のデザインを取り入れました。このデザインによって、景観や内装との調和を崩さない網戸に仕上がりました。逆に冬場にはこのような大きなガラス面があるとそこから熱が逃げてしまいます。そこで、大きな窓を覆えるスライド式の断熱パネルを採用しました。夜など周りが暗くなり外の景色を見る必要がなくなった時には、この断熱パネルを使うことで熱が逃げるのを防げるようなデザインにしました。
パッシブソーラーシステムの応用
トレーラハウスの南側には大きな桜の木が立っていて、夏にはこの桜の木の葉っぱが強い日差しを遮ってくれます。これによって、室内が異常に暑くなるということを防ぎます。逆に冬になるとこの葉っぱが全部散るので、光が室内に入り込みやすくなります。このような考え方を”パッシブソーラーシステム”と言います。環境工学系の教科書には必ず書いてあるような基本的な考え方で、この自然のサイクルを応用し取り入れました。
自由に動かせる建築
トレーラーハウスの魅力の一つに建てたまま移動が可能であるということが挙げられます。例えば、私たちが一つの用途を使い終えた時に別の場所へ引っ張って行き、違う用途で使用することができます。解体せずに再配置や再活用ができることや用途転用する際にあまり廃棄物が出ないということがサスティナビリティを高めるポイントなのではないでしょうか。
Off-Grid技術との融合
私が執筆した書籍の中でも触れているのですが、トレーラーハウスは動かすこともできるのでOff-Grid技術と相性が良いと思っています。Off-Grid技術というのは、電力・ガス・水道などのインフラを外部に頼ることなく独立して供給できるようにする技術のことです。例えば、トレーラーハウスにソーラーパネルを取り付けてリチウムイオン電池と組み合わせるといったことを書籍の中では提案しています。将来的にはこういった技術を取り入れたトレーラーハウスもデザインしてみたいなという風に考えています。
コラムを担当したデザイナーについて

土屋 真Tsuchiya Shin
デザイナーの⼟屋真は、一級建築士として建築デザインを行ってきました。現在では移動する空間のデザインを専門としています。
土屋は研究者としての側面も持っており、トレーラーハウスの利用についての研究で博⼠号を取得しています。
国内の設置事例に関する数々のフィールドワークや製造現場の調査などを⾏っています。
ご要望に応じた提案をご用意します。
まずはお問合せください。