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サテライトオフィスで困る意外な田舎生活

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ワーケーションとデザイン

2022.08.03 ライター:小貫信比古

サテライトオフィスで困る意外な田舎生活
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移動には車が必須

サテライトオフィスでの生活は、大自然の美しさを堪能することと引き換えに、都心での生活とは違う不便さと隣り合わせです。村の中での移動手段は、もちろん車。車の運転ができない人は、サテライトオフィスから自由に移動することは難しいです。基本的にはみんなで移動する団体行動になってしまいます。都心とは違い少々不便さを感じます。送り迎えや、同業所の予定に合わせて自分の予定を変えなくてはならない部分もあるので、普段よくある、「お先に失礼します」がありえない環境なのです。 村の中は起伏が激しい山道が多く、オリンピックのロードレースのコースにも選ばれたくらいなので、普通の人には自転車での移動は大変です。私も一度トライしましたが、途中で疲れ果ててしまいました。電動キックボードなどのモビリティの用意があれば、近くを色々とまわることもできそうです。

真っ暗闇は、慣れれば楽しい

夜は街灯がほとんどないので、辺りは真っ暗になります。都心では信じられないくらいの足下さえおぼつかない暗さになるので、その点は要注意です。最初はスマートフォンのライトを使っていましたが、それでは両手が塞がってしまうということで、今では頭に付けるヘッドライトを常備しています。最初の頃は、日帰りで帰る際に、真っ暗闇のケモノ道を運転しなければいけないということで、運転への疲れを感じていました。ですが、暗くなるのが早いおかげで「この時間には絶対に仕事を終えて帰ろう」など、時間にメリハリが付くという良い効果をもたらしてくれました。そのおかげで仕事後には、村営の温泉にゆっくり浸かってから帰るという贅沢な時間を持つこともできます。 また、夜の暗闇や突然飛び出してくる動物たちには、都心での生活では生まれにくい、本能的な恐怖や不安を感じることがあります。便利な都心にいると、自分が人間であるということを忘れがちですが、ここでは生き物としての本能的な感覚が蘇ってくる。それがおもしろいのです。

高地のメリットとデメリット

冬には、水道が凍結してしまうためトイレの水が流れないという、都会ではあまりない事態にも遭遇します。そのため、水道の元栓の開け閉めを忘れないようにしなくてはいけません。これも、ひとつのワーケーションを行う上での大変さでもあります。ですが、高地で涼しいので、夏でも蚊が一匹もいないこともあり、夏は過ごしやすいという良い面もあります。 大自然の中のサテライトオフィスでの田舎生活は、都会に比べると不便なことがたくさんあります。しかし、大変な分「生きてる実感」が持てる。それが一番の醍醐味でしょう。

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コラムを担当したデザイナーについて

土屋 真の写真

土屋 真Tsuchiya Shin

デザイナーの⼟屋真は、一級建築士として建築デザインを行ってきました。現在では移動する空間のデザインを専門としています。

土屋は研究者としての側面も持っており、トレーラーハウスの利用についての研究で博⼠号を取得しています。

国内の設置事例に関する数々のフィールドワークや製造現場の調査などを⾏っています。

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